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周術期に発症するPAC・PVC その1 [PAC・PVC]

 PAC・PVCは心室細動や洞不全症候群などの重症な不整脈と異なり軽症の不整脈に分類され経過観察になることが多い.期外収縮は周術期に最も遭遇する不整脈であるが,周術期にはその一部が重症化する危険性がある.今回は周術期の期外収縮に焦点を絞り,その特徴と管理法について述べる.

1. PAC
 PACとは,心房およびそれに接合する肺静脈,上大静脈,下大静脈,冠状静脈洞を起源とする期外収縮である.原因としてはジギタリス中毒,強心薬投与,テオフィリン投与などが挙げられる.過度の交感神経亢進状態,心疾患等による心房負荷,肺疾患,甲状腺疾患などの基礎疾患も原因となるが,原因が明らかでない症例も多い.PACは治療の対象になることは少ないが,強い自覚症状を伴う症例,PACの多発により心機能が低下している症例,心房細動に移行する可能性がある症例で治療適応となる.特に周術期に発症したPACは心房細動,すなわち周術期心房細動に移行する可能性が高いとされる.一般的に心房細動を発症すると脳梗塞や心不全などの心血管系イベントは約2倍に増加することが知られていたが1),周術期心房細動は一般的な心房細動と異なり在院日数を多少延長させるものの生命予後に影響を与えることは少ないと考えられてきた.しかし,近年周術期心房細動の発症が一般的な心房細動と同様に心血管系イベントを含む多くの合併症に影響を与えている可能性が指摘され,周術期心房細動への関心が高まっている2).周術期心房細動には様々な因子が影響すると考えられ,有効性が認められた予防法,治療法も多岐にわたる. 以下,周術期心房細動について特徴,予防法,発症した際の治療法について述べる.

【参考文献】
1) Benjamin EJ et al.: Impact of atrial fibrillation on the risk of death: the Framingham Heart Study. Circulation 98 :946-52,1998
2) Villareal RP et al.:Postoperative atrial fibrillation and mortality after coronary artery bypass surgery. J Am Coll Cardiol. 43 :742-8,2004

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