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OPCAB 2010秋 その4 [OPCAB]

b.他の臓器合併症に関する検討
 人工心肺は脳以外の臓器に対してどのような影響をあたえるのであろうか.WeerasingheらはCABG施行2041症例をOPCAB群817症例,on-pump CABG群1224症例に分け,propensity scoreを用いて術後腎機能について比較検討を行っている1).その結果,on-pump CABG症例ではOPCAB症例と比較して術後に腎機能が悪化する危険性が術前腎機能の程度にかかわらず高いことが示された.OPCABでより腎機能が維持される理由としてOPCABにおいては平均動脈圧が維持される点を挙げている.Deweyらは血液透析導入患者に対しても術式の影響について比較検討している2).彼らは,CABG 158症例をOPCAB群59例とOn-pump CABG群99例に分け,後ろ向きに周術期危険因子,予後について比較しているが,院内死亡率,周術期合併症発症率はOPCABで有意に少ないものの,長期予後はon-pump CABG患者の方が良好であったと報告している.OPCAB群では周術期の合併症を減らすことができるが,完全血行再建まで行っていない症例が多く長期予後が悪化した可能性が高いとしている(表).以上のことから,合併症を持つ患者に対して周術期の合併症を減らすだけでなく長期予後まで改善するためには,人工心肺使用の有無だけでなく吻合部位の検討まで必要であると思われる.

表 6.jpg

【参考文献】
1) Weerasinghe A et al: Ann Thorac Surg. 2005;79:1577-83
2) Dewey TM et al: Ann Thorac Surg. 2006;81:591-8
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