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先天性心疾患を持つ女性における出産後の中長期心血管系転帰 [抄読会]

Cardiac outcomes after pregnancy in women with congenital heart disease.

【目的】
 先天性心疾患の女性における妊娠後の遅発性(出産6ヵ月以降)心血管系イベントの発症率とその危険因子について検討する.

【方法】
 妊娠後の遅発性の心血管イベントについて,318例405回の妊娠を対象に追跡期間中央値2.6年の間後ろ向きに検討を行った.遅発性心血管系イベントは心臓死,肺水腫,不整脈,または脳卒中とした.

【結果】
 遅発性心血管イベントは妊娠後12%の症例に発症した.妊娠中心血管系イベントを発症した女性の方が,妊娠中心血管系イベントを発症しなかった女性よりも遅発性心血管イベントを多く認めた(27±9% vs 15±3 %, HR 2.2,p = 0.02).遅発性心血管イベントの危険因子は,NYHA III以上または安静時チアノーゼ(HR 3.9,95%CI 1.4 - 6.6),右心機能低下および肺動脈弁逆流症(HR 3.2,95%CI 1.6 - 6.6),左心系閉塞性障害(HR 2.6,95%CI 1.2 - 5.2),および妊娠中心血管系イベント(HR 2.6,95%CI 1.3 - 4.9)であった。遅発性心血管イベントの5年発症率は,危険因子をもたない場合は7±2%,危険因子を1つ持つ場合は23±5%,危険因子を2つ以上もつ場合は44±10%だった(p<0.001).

【結論】
 妊娠中の心血管系イベントから妊娠出産後の中長期心血管系転帰を予測できる可能性がある.

【解説】
 先天性心疾患を持つ女性では,周産期の循環血液量増加によって心不全に陥る可能性が高い.本研究は妊娠中だけでなく出産後も心不全を含む心血管系イベントを起こす可能性が高いことを示した.理由として周産期の心臓への負荷の遷延をあげている.今後,先天性心疾患を持つ女性は周産期のみならず中長期にわたり循環器系のフォローが必要になると思われる.

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